【報告】2025年4月17日 大手企業交渉@日本教育会館&ニッショーホール

※この報告は、個人の特定を避けるため氏名や顔写真を掲載していません

賃金対策部担当書記 工藤

東京土建も構成団体の一部になっている全国建設労働組合総連合、略して全建総連。

そのうち関東地方の建設組合の連合体、関東地方協議会連絡会、略して関東地協として、第81回大手企業交渉に参加してきました。

午前の部は、200人を超える代表団が一堂に会して決起集会。関東から集結した労働組合代表が挨拶や方針提起を行ない、我らが渋谷支部の代表もスピーチしました。

まさかこんなに大勢の前で話すとは思っていなかったそうで、スピーチ前は泣きそうになっていて可哀そうなほどでした。

しかし立派に役を果たし、他の組合の方々から「格好良かったよ」と声をかけられていました。

午後の部はそれぞれ30人ほどに分かれ、大手建設企業、住宅企業との交渉に臨みました。

渋谷チームは積水化学工業との交渉に参加。

集合時間より早めに着いたので、腹ごなしにアメリカ大使館を見学しに行きました。大きなビルばかりでそれらしきものが見当たらず、テロ警戒中と書かれた看板の前に立っている警察官に「アメリカ大使館はどこですか?」と聞くと、にこやかに目の前の建物を指し「こちらですよ。アポイントは取っていますか?」と言われました。

渋谷区内にもそれぞれのお国柄が表れた大使館がありますが、アメリカ大使館はザ・合理主義な感じでした。

企業交渉では、団長をはじめ組合員の皆さんから様々な要望が出されました。渋谷支部も3、4回手を上げ発言しました。

まず賃金項目。

企業による職人への賃金調査で「職人からの要望もあり、賃金は微増している」との回答だったので、職人ではなく正社員の給与の上昇率を尋ねました。この物価高を生きていくには、企業内の社員と仕事を頼んでいる職人で同じように上げないとおかしいからです。残念ながら今すぐには答えられないとの事で、回答は持ち越しとなりました。ちなみに積水化学工業から独立した積水ハウスは、全社員の月額給与を18%アップさせています。

CCUSの項目では、「CCUSは外国人労働者のために登録している。現場へのカードリーダ―設置は職人からの要望も無く必要性が感じられない」という回答でした。

建退共については「建退共とは別の独自の年金制度を導入している」との回答。

専属率が9割と言われる大工や内装工ならそれでも良いかもしれませんが、専属率5割ほどの基礎工・電工にとってCCUSはキャリアを蓄積し、請求に反映されることが出来る大切な制度です。また、独自の年金制度も専属率によっては受け取れない場合があるため、対象外になりそうな方には年金制度にかける経費を建退共に使ってほしいと要望しました。

次回の交渉は秋です。持ち越された課題も併せて、またご報告します。皆さんの現場の情報を常に集めていますので、どうか渋谷支部にお寄せください。

最後に、渋谷の代表による大林組への告発スピーチをもって、企業交渉の報告を終わります。

「仲間の皆さん、お疲れ様です。東京土建渋谷支部で執行委員をしております、●●と申します。仕事は、保温工をしています。

私は、大林組が元請の品川4街区南棟、今街びらきで話題の高輪ゲートウェイの建設現場で働いていました。そこで私が体験したのは、現場で働く人間の命と健康が、あまりにも軽く扱われているという現実でした。

私たちの詰め所は10階にありましたが、そこは十分なエアコンも設置されておらず、まともに休憩できないような劣悪な環境でした。灼熱の夏、汗が止まらない中で、何とか体を休めようとしても、冷房の効かない部屋に追いやられました。人間がまともに働ける環境ではありませんでした。

秋になって、詰め所が21階に移されました。ところが今度は、トイレの排水が機能せず、水があふれ出すという異常事態が続きました。当然、一次会社に改善を申し入れました。ですが、返ってきたのは沈黙と無視でした。私は東京土建に連絡して、何としても改善してくれと訴えました。組に要望は伝わったはずですが、それでも状況は何ひとつ変わりませんでした。

結果的に大きな体調不良を訴える人はいなかったかもしれません。でも、一歩間違えれば、大事故に繋がっていたかもしれません。

2023年9月19日、東京・八重洲の現場で鉄骨落下事故が起きたばかりです。あの事故から大林組は何を学んだのでしょうか?本当に反省しているのでしょうか?私は、そうは思いません。反省とは、口先だけで済ませるものではありません。行動で示すものです。職人たちが安心して、誇りをもって働ける現場を作る。それが、企業の責任です。

しかし、大林組は反省するどころか、別の場所で「イメージ作り」に必死になっています。あの大阪万博です。大林組は、工学系大学に対して万博の入場チケットを無料で配布しています。何のためですか?将来の技術者に「夢」を見せるためですか?現場で汗を流す職人たちの声を無視し、劣悪な労働環境を放置し、外向けの“夢”にはお金をかける。これが企業の姿勢でしょうか。現場を支えているのは誰か。地べたで汗をかき、命をかけて働いている私たち職人です。

私たちはもう黙っていません。声を上げます。現場でともに汗を流す全ての仲間たちのために。命を守るために。人手不足が続いている今こそ、本気で現場環境を見直すときです。ともに頑張りましょう!」

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